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2.282023
【2023年最新】放課後等デイサービスの開業資金はいくら?安心して経営するために必要な金額とは
放課後等デイサービスの立ち上げに必要な資金ですが、初期費用で800万円、運転資金4カ月分で500万円、当面の自身の生活費が200万円で、合計1500万円が立ち上げ前に準備しておくべき資金です。さらには、開業後も事業継続に必要な経費(ランニングコスト)も必要となり、助成金や補助金の活用はもはや必須です。独立行政法人 福祉医療機構の調べによると、放課後等デイサービスに代表される福祉事業での事業支出の7割は人件費となっています。この記事では、前半部分で放課後等デイサービス事業所で人・スタッフに関連する助成金や補助金の紹介、後半部分では放課後等デイサービス立ち上げにかかる資金の詳細について解説いたします。
申請しよう!助成金と補助金
助成金と補助金の違い
『助成金』と『補助金』は、国や都道府県(地方公共団体)あるいは民間の財団法人などから事業資金が支給されるもので、共通して言えることはどちらも返済の必要がないということと、後払いであることです。そのため、放課後等デイサービスの開業・立ち上げ時資金として助成金や補助金を使うことは不可能です。開業・立ち上げ資金を調達したい場合は、銀行からの融資ほか、明確にここが違うといった決まりはないものの、大まかな傾向というものは存在します。
助成金については、定められた要件を満たして申請をすれば、ほとんどの場合支給されます。対して補助金は、採択件数や予算、公募期間が限定されているものが多いので、申請しても必ず支給されるとは限りません。あくまでも、大まかな違いの傾向ですので上記に当てはまらない助成金・補助金も多く存在し、支給のタイミングも申請後2、3ヶ月〜1年近くかかるといったものも。都道府県によっても違いがあるため、申請にあたっては、必ず募集要項を読み込んで制度の内容を理解し、活用しましょう。
オールケア学院は、放課後等デイサービス含め重症心身障がい児・者向け事業所の運営ノウハウを豊富に持っており、立ち上げや経営安定化のご支援を行なっております。まずは、お気軽にご相談ください。
放課後等デイサービスで申請可能な主な助成金
最初に書いたように、放課後等デイサービスのような福祉事業では事業支出の7割が人件費です。そのため、ここでは、人・スタッフに焦点を当てた助成金を3つ紹介します。
- キャリアアップ助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 人材確保等支援助成金
キャリアアップ助成金
正社員化コース(2022年12月2日改正、制度拡充!)
有期雇用、短時間労働、派遣社員といった、いわゆる非正規雇用の従業員を、正社員化又は直接雇用した場合に助成されるものです。要件としては、①正規雇用労働者に転換する前日までに「キャリアアップ計画※」を作成・提出、②正規雇用労働者に転換する制度を、就業規則などに規定、③従業員を正社員化。正社員転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額、の3つです。企業規模その他の条件によって支給額は変わりますが、1人当たり最大57万円(1年度1事業所で支給上限20人)ですが、人材開発支援助成金も一緒に活用すると、最大11万円加算されます。
働き方改革推進支援助成金
労働時間短縮・年休促進支援コース(2022年12月12日改正、制度拡充!)
2020年4月1日から、中小企業に対して時間外労働の上限規制が適用されるようになりました。この労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備への取り組みに対して助成されます。
具体的な取り組みは研修やコンサルティング、設備の購入など9つ、それに対する成果目標は4つあり、15万円から最大160万円まで支給されます。
人材確保等支援助成金
雇用管理制度助成コース(2022年4月1日以降、新規受付を休止)
諸手当等制度や研修の制度、健康づくり制度、メンター制度などの雇用管理制度を導入・実施し、スタッフの離職率低下への取り組みに対して助成される制度です。
離職率目標を達成した場合の助成額は57万円で、生産性要件を満たした場合は72万円となります。記事執筆時では新規受付休止の状態ですが、今後また再開される可能性がありますのでチェックしておきましょう。
放課後等デイサービスで申請可能な補助金
IT導入補助金
IT導入補助金は、放課後等デイサービスなど福祉事業を含む中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。放課後等デイサービス事業所においては、スタッフの勤怠管理や請求業務の支援ソフトの導入が考えられます。補助金額はかかったお金の最大1/2以内で、30万円〜450万円が補助されます。
以上が、放課後等デイサービスで利用できる助成金・補助金の一部です。労働環境を整えることは、人材採用・離職防止にとても有効です。オールケア学院では、放課後等デイサービスや重症心身障がい児・者向けの事業所などの立ち上げ、経営安定化支援を行なっておりますのでお気軽にご相談ください。
放課後等デイサービスの開業資金
ここからは、放課後等デイサービスの立ち上げ・開業にかかるお金について解説します。上記の助成金や補助金は後払いのため、立ち上げ資金としては利用できません。資金不足の場合は、融資の利用を検討しましょう。融資についての解説はこちらの記事をご覧ください。
初期資金(イニシャルコスト)
法人設立費用
法人種別によって様々です。以下は法定費用と法人印作成代などを合算した、おおよその目安です。
株式会社:25万円程度
合同会社:10万円程度
NPO法人(特定非営利活動法人):数万円(法定費用なし)
社会福祉法人:数億円(設立にかかる期間も年単位)
有限会社:2022年現在、有限会社を新規設立することはできません。ただし、すでにある有限会社が放課後等デイサービス事業を立ち上げることは可能です。
また、開業(または新規事業立ち上げ)の際は、定款の事業目的に必ず下記文言を入れてください。
・株式会社、有限会社、NPO法人等の場合
「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」と記載
・社会福祉法人の場合
「障害者支援施設の経営」と記載
さらに、将来的に手掛ける福祉事業の幅を、生活介護事業や就労継続支援事業などに広げるのであれば、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」などの文言を入れておきます。
放課後等デイサービスに通っていた児童の、卒業後の進路としてニーズがあるため、法人の設立時には事業目的を広く取ることがおすすめです。
物件取得(賃貸契約)・内装施工費用
事業所の敷金や礼金、リフォーム代、仲介手数料などです。
大きな出費ですが、エリア、物件や工事内容により、金額は大きく異なるので注意が必要です。
古い一軒家の購入を考える方もいらっしゃいますが、新規開業、立ち上げ時の費用についてはできるだけ小さく抑えるのが基本です。賃貸で施設を確保した場合、敷金や保証金、数カ月分の家賃の前払いなどが必要です。施設のエリアや広さによって必要な金額は異なりますが、60万円程度は確保しておくべきです。
また、内装に手を入れる必要がない居抜き物件でもない限りは、リフォーム代も考えなければなりません。放課後等デイサービスの施設は、仕切りの少ない開放的な空間が必要ですので、場合によっては内装施工費が100万円を超えることもありえます。どの程度のリフォームが必要かは、物件の下見の段階からしっかりと意識しましょう。
保険料
施設の賠償責任保険、火災保険、送迎車の自動車保険。ほか、職員や放課後等デイサービスを利用する子どものケガに備えた保険など、必要に応じて検討します。職員や利用者の数、施設の規模によって異なりますが、20万円程度を考えておきましょう。
職員の求人費用
まずは費用もかからず、ある程度安心感のあるリファラル採用(知人からの紹介・縁故採用)で職員を探しましょう。そこから人づてに紹介を広げていくのも良いですし、SNSで呼びかけるのも効果的です。並行してハローワークも利用しますが、児発管(児童発達支援管理責任者)の採用が難しい場合がありますので、有料の求人媒体や人材紹介も検討します。有料サービスの場合、採用にかかる費用は1人あたり10万円から最大で100万円近くなる場合もありますので、できるだけ無料の方法で採用できるように動きます。
利用者募集に関する費用
近年では「施設を作れば利用者は集まる」という事はありません。WEBサイトやパンフレット、広告媒体でエリアに広く告知することが必要です。WEBサイトについては、安く最低限の内容で仕上げることも可能ですが、我が子を預ける保護者の立場になった場合、ある程度のクオリティに達していたほうが印象は良くなります。広告宣伝費は50万円前後を見込んでおきます。
送迎車購入費用・自動車保険
事業所が駅前のビル内など、よほど立地に恵まれている状況でなければ、送迎車の用意は欠かせません。ただ、良い立地は家賃も高いので、どちらが良いとは一概には言えません。利用者の人数や開業エリアによってもちろん違いはありますが、事業所の立ち上げ時には、送迎車の用意を2、3台程度、うち少なくとも1台は、車いすのまま乗車ができる、福祉車両の導入を考えた方が良いでしょう。福祉車両は、納車までに時間がかかる場合もありますので、リース利用も検討します。
車両本体の費用が約100万円+保険その他諸費用が約15万円×3台とした場合、必要な費用は約350万円ほどになります。
なお、重症心身障がい児の送迎に使用する福祉車両だと、車両価格で1台300万円ほどになる場合があります。
事務用品、備品
下記の購入費で、80万円程度になります。
利用者側備品:机、いす、おもちゃ、絵本、教材、訓練用具、簡単な医療機器、衛生管理備品、安全管理備品
事務用品:机、いす、ロッカー(鍵なし&書類保管用の鍵付き)、パソコン、プリンター・コピー機の複合機
家電品:冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、掃除機、手作りおやつなどの調理器具
開業までにかかる初期費用
一概には言えないものの、上記を揃えた場合、立ち上げまでの初期費用として800万程度となります。それにプラスして、立ち上げ後4カ月分の運転資金も準備が必要です。こちらについては次の運転資金の項目でご説明します。
運転資金(ランニングコスト)
開業後、継続的にかかる費用のことを、運転資金(ランニングコスト)と言います。ここで、要注意点です。放課後等デイサービスの収益は開設後、2カ月経ってから得られます。開設〜2カ月後の期間は収益無しとなりますが、当然、家賃や人件費の支払いは発生します。この分の費用も開業前に準備しておく必要があります。また、2カ月経って利用者が定員に満たない場合のリスクも考慮し、4カ月分の運転資金を用意します。
人件費
職員の給与、福利厚生費(社会保険料の事業所負担分)、通勤交通費など。人数や営業日数によって変わってきますので、間違いの無いようにしっかりと計算し、計画を立て、資金を準備しておきましょう。給与支払遅延などもってのほかです。職員の待遇の良し悪しは、そのまま利用者へのサービス提供の質へと現れます。
児童発達管理責任者1名、常勤1名、非常勤1名の場合、1か月あたり約60〜70万円程度の人件費がかかります。
家賃
毎月決まった金額が発生する固定費ですから、少しでも安くできるよう、物件の契約前に家賃交渉しましょう。
諸経費
光熱費、営業費、雑費、車両維持費…など、家賃とあわせて月に50万円以上かかると考えます。
開業資金+運転資金
初期費用が800万円、運転資金4カ月分が500万円と見積もった場合、合計で1300万円が放課後等デイサービスの開業に必要な資金となります。
大切だけど見落としがちなこと
自分の生活費
これまでに見てきたものは、他人に対して支払うものです。意外と忘れがちですが、自分の生活費を確保しておくことはとても大切です。個人で開業される方のうち、放課後等デイサービス以外に収入源のある方はいいのですが、「放課後等デイサービス事業に人生をかける!」という方は、ご自身の生活費もしっかりと準備をしておきましょう。
放課後等デイサービス事業で、収益が得られるのは立ち上げ後2カ月といっても、その時点で利用者が満員ではない可能性もあり、安定した収益があげられるのは、もっと先になる可能性もあります。
さらには、計画書どおりにお金の出入りが進んだとしても、毎月数十万〜数百万の貯金が減っていくさまは、精神的にけっこう厳しいものがあります。
そんな時でも気持ちに余裕を持って、良い放課後等デイサービス事業を運営・経営するために、ご自身の生活費は、必ず準備をしておきましょう。生活スタイルや家族の有無にもよりますが、当面の生活費として200万円ほど準備します。
まとめ
放課後等デイサービスの開業には、資金1300万円+生活費200万円の資金を準備しておく必要があることがわかりました。個人の貯金でこれら全てを賄うのは、なかなか難しいものがあるかと思います。オールケア学院では放課後等デイサービス開業のための具体的な準備の他、補助金・助成金の申請についてのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせ下さいませ。
参考リンク
厚生労働省:人材確保等支援助成金のご案内
厚生労働省:キャリアアップ助成金
厚生労働省:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
一般社団法人 サービスデザイン推進協議会:IT導入補助金
経済産業省 中小企業庁:IT導入補助金とは
大阪労働局:各種助成金について
独立行政法人福祉医療機構:福祉貸付事業
独立行政法人福祉医療機構:2018年度 児童系障害福祉サービスの経営状況について
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