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2025年4月、育児・介護休業法改正! 医療職・福祉職が知っておきたい最新ガイド

性別を問わず働く人が育児・介護と仕事を両立しやすい環境づくりを目指す「育児・介護休業法」が、2025年4月1日に改正されました。 本記事では医療職・福祉職の方々へ向け、改正の要点と、医療・介護の現場でもっと活用する方法について、わかりやすく説明します。

育児・介護休業法とは?

育児・介護休業法(正式名称:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)は、働く人が仕事と育児・介護を両立できるよう、支援することを目的とした法律です。 育児・介護休業法は1991年に制定され、その後も社会情勢の変化に合わせて、繰り返し改正されてきました。

育児・介護休業法で定められている4つの制度

育児・介護休業法には、主な制度として以下の4つが定められています。

①育児休業制度

子どもが1歳(特定の条件下※では2歳)になるまで、仕事を休めます。2022年からは、子どもが1歳に達するまでの育児休業を、2回まで分割して取得可能になりました。
雇用保険から「育児休業給付金」が支給されますが、取得には事前の申請が必要です。
※1歳の時点で保育所に入所できない、または両親の病気・ケガなど育児が困難な状況であるなどの場合

②子の看護休暇

小学校就学前の子どもが病気やケガをした時に、看護のために休暇を取得できます。
5日/年(2人以上の場合は10日/年)の休暇が取得可能です。また時間単位での取得もできます。

③介護休業

家族が要介護状態になった時に、最大で93日間(分割で取得することも可能)、仕事を休むことができます。
雇用保険から「介護休業給付金」が支給されますが、取得には事前の申請が必要です。

④介護休暇

要介護状態にある家族を介護するために、5日/年(2人以上の場合は10日/年)の休暇を取得できます。時間単位での取得も可能です。

雇用形態や勤続年数に関わらず、原則としてすべての労働者がこれらの制度を利用する権利を持っています。 事業主はこれらの制度の整備・周知を行い、労働者が制度を利用することを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

育児・介護休業法 2025年4月改正のポイント

男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などの改正が主に行われました。

育児に関する改正の主なポイント

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①子の看護休暇の見直し(義務:就業規則等の見直し)

※取得可能日数は、現行日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)から変更なし

②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大(義務:就業規則等の見直し)

③育児のためのテレワーク導入

3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化される

介護に関する改正の主なポイント

続いて、介護に関する改正について、詳しく説明していきます。

①介護離職防止のための雇用環境整備(義務)

介護休業や介護両立支援制度等(※)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの 措置を講じなければならない

① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
※ ⅰ介護休暇に関する制度、ⅱ所定外労働の制限に関する制度、ⅲ 時間外労働の制限に関する制度、 ⅳ 深夜業の制限に関する制度、ⅴ介護のための所定労働時間の短縮等の措置
※①~④のうち複数の措置を講じることが望ましい

②介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認

介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならない。
※ 取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められない。

(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供

労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければならない。

③介護のためのテレワーク導入要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

育児・介護休業法を医療・福祉の現場で活かすには?

常に忙しい、人手が足りないなどの課題に悩まされがちな医療・福祉の現場。
そんな大変な仕事だからこそ、育児・介護休業をしっかり取得して、少しでも負担を減らすことが大切です。
ここでは、医療職・介護職がスムーズに育児・介護休業を取得するためのポイントを紹介します。

育児・介護休業法 申請の流れを知ろう

育児・介護休業法を効果的に活用するためには、計画的な準備と適切なタイミングでの申請が鍵です。 特に医療・福祉現場では人員配置の調整に時間を要するため、早めの行動が重要です。

申請の基本的な流れ

まず、就業規則や施設の制度を確認しましょう。法定以上の支援制度を設けている医療機関も少なくありません。

妊娠が分かった段階や介護が必要となる見込みが立った時点で、まず上司に状況を伝えましょう。この段階では正式な申請ではなく、情報共有が目的です。

具体的な制度の詳細や申請書類について人事担当者に確認します。

原則として、育児休業は出産予定日の1ヶ月前まで、介護休業は2週間前までに申請書を提出します。しかし施設によって異なる恐れがありますので、確認が必要です。

育児・介護休業法 申請のタイミング

・育児
妊娠が分かったら12週頃(安定期に入る前)までに上司への第一報を行い、出産予定の5〜6ヶ月前には具体的な休業計画について相談を始めるのが理想的です。

・介護
介護の必要性が予測された時点で早めに相談し、介護保険サービスの調査や手配と並行して職場での対応を検討します。

・業務引継ぎ
特に専門性の高い業務や担当患者・利用者がいる場合は、詳細な引継ぎ資料の作成と段階的な引継ぎスケジュールを立てましょう。

・復帰計画の提示
休業申請時に、大まかな復帰予定や復帰後の働き方について希望を伝えておくと、職場側も計画が立てやすくなります。

・「もしも」に備える
予測不能な事態(早産や急な介護状況の変化)に備えて、あらかじめ上司や人事部門と「もしもの場合の連絡方法」を確認しておくことも重要です。 また、申請書類の控えは必ず保管し、制度の適用条件が変わった場合には速やかに報告しましょう。

育児・介護休業法の内容を理解し、育児・介護と仕事を無理なく両立しよう

育児・介護休業法は、働く人々が仕事と育児・介護を両立しやすい社会を目指す重要な法律です。
この法律に基づく主要な制度(育児休業、子の看護休暇、介護休業、介護休暇)は、性別や雇用形態に関係なく、多くの労働者が利用可能です。

特に医療職・福祉職では、人手不足やシフト勤務など特有の課題がある中で、これらの制度を活用することがキャリアの継続や職場の働きやすさにつながります。
また、計画的な申請や復職プランの提示、チーム内のコミュニケーションが、制度活用のポイントとなります。
内容を正しく理解し活用して、育児や介護と仕事の両立がより実現しやすい環境を整えていきましょう。

参考:厚生労働省HP

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