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2.282023
障がい福祉事業を開業したい!施設の立ち上げや経営に必要な行動とは。
近年では少子化が問題視されるようになり、対策が議論されていますが、日本における障がい児の数は年々増加傾向にあります。そこで必要になるのが、障がい児が暮らす地域において日常の支援・介護を行う障がい福祉事業所です。障がい福祉施設の開業・立ち上げに必要なステップは、主に5つ。①情報収集、②法人化、③設備を整える、④人員を揃える、⑤運営面を整える、といった流れです。本記事では、障がい福祉事業の開業・立ち上げまでのステップを解説します。
起業の動機
今、オールケア学院のコラムを読んでくれているあなたは、大なり小なり「開業したい!自分で、障がい福祉事業を立ち上げたい!」との思いを抱いているのだと思います。では、障がい福祉施設を開業したいという、その思いの源泉はなんでしょうか?頭の中で結構です。しっかりとイメージしてみてください。そのイメージは、事業計画を描く上で重要なポイントになります。
2023年現在では、地域によっては放課後等デイサービスなど障がい福祉事業所が乱立し、質の低いサービスや他との差別化ができない事業所が淘汰される段階に入りつつあります。そんな中、重症心身障がい児・者向けの障がい福祉事業所は、全国的にも数が足りていない上、運営ノウハウも必要なことから参入障壁が高い分野です。オールケア学院では、オールケア・グループの豊富なノウハウをもとに、重症心身障がい児・者向けの障がい福祉事業所の開業支援を行なっております。お気軽にご相談くださいませ。
まずは手軽に情報収集
イメージを描けたところで、まずは情報収集です。今はスマートフォンが盛んですので、情報を得ることにさほど苦労はありません。当サイトに辿り着く前に、結構な情報を得ている方も多いのではないでしょうか。
そこで大切になってくるのが『情報リテラシー』です。情報リテラシーとは、総務省の通信白書によれば、広義の意味で情報を取り扱う上での理解、更には情報及び情報手段を主体的に選択し、収集活用するための能力と意欲、と定義されています。
情報の時期に注意
インターネットの場合
その記事はいつ書かれたものでしょうか?
当学院のブログで言えば、この部分。
2023年2月2日に公開されたものですね。障がい福祉事業にまつわる法改正は、3年ごとに実施されます。前回の法改正は2021年でしたので、それ以降に書かれたものは、最新の情報である可能性が高いと言っていいでしょう。ただ、インターネットにある情報は公的機関や大手企業、大学等の研究機関など信頼できる情報源もあれば、誤った情報や思い込みが、検証もされずに載っている個人ブログまで、玉石混交です。最近の公開日でも、内容には注意が必要です。
書籍の場合
書籍の場合、筆者のほか、編集者や校正者のチェックが入っているため、インターネットに比べれば正確な情報が多いといえます。ですが、インターネットは情報の更新(リライト)が簡単ですが、書籍ではなかなか手間とお金がかかってしまいます。それゆえ、一度出版したあとは手直しがされない場合もあります。節約して、中古の本で勉強しようという方は注意が必要ですね。本の表紙などに『2021法改正対応』と大きく書かれている場合が多いので、最新の起業情報であることを確認してから購入しましょう。
素早く確実に、正確な障がい福祉事業起業のノウハウを手に入れる方法
当学院へお気軽にお問い合わせください。オールケア・グループが障がい福祉施設を長年運営した、生きたノウハウが当学院に豊富に蓄積されております。開業を検討される方が多い放課後等デイサービスをはじめ、インターネットや書籍で情報を得るのが難しい重症心身障がい児(者)向け施設まで、当学院では幅広く対応しております。
そもそも障がい福祉事業ってどんな種類があるの?
障がい福祉事業・サービスは大きく2つに分けることができます。
一つは「障害者総合支援法に基づくサービス」、もう一つは「児童福祉法に基づくサービス」です。それぞれ、介護や訓練、居宅系サービスや通所系サービスなど種類は多岐に渡り、サービスごとに利用できる年齢や障がいの種類が決められています。
オールケア学院で開業支援が可能な、障がい福祉事業
- 児童発達支援(未就学児向け)
- 放課後等デイサービス(就学年齢児向け)
- 居宅介護
- 生活介護
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
- 相談支援
- 職業訓練校
児童発達支援(未就学児向け)
児童発達支援事業所とは、障がいのある未就学の子ども(6歳まで)が利用でき、色々な支援を受けることのできる施設です。日常生活に必要な自立支援に加え、遊びや学びの場として、また、社会生活に必要なスキルを身につける場として、多面的な支援を行います。
放課後等デイサービス(就学年齢児向け)
障がい児向けの福祉事業所といえば、放課後等デイサービスとのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。児童発達支援と放課後等デイサービスは、どちらも2012年の児童福祉法改正により始まった支援の形です。児童福祉法の改正以前は、両者は「児童デイサービス」という名称で扱われていました。
児童発達支援と放課後等デイサービスは、その施設を利用できる年齢が異なります。児童発達支援が未就学の障がいのある子どもを対象としているのに対し、放課後等デイサービスは6歳から18歳までの就学年齢の障がいのある子どもを対象としています。そのため、放課後等デイサービスでは 児童発達支援とは違い、学校生活の困りごとや人間関係の悩み、進学や就職などひとりひとりの進路までを踏まえた支援が行われます。
居宅介護
居宅介護とは、自宅での生活を希望する障がいのある方を対象とした、生活全般の支援や相談を行う重要なサービスです。一般的に、自宅で介護サービスを受けることを、居宅介護や在宅介護など様々な表現をされる場合がありますが、居宅介護は『障害者総合支援法』に基づいた障がい福祉サービスになります。
生活介護
生活介護とは、2013年に施行され、その後2018年に改正された障害者総合支援法に基づく通所型の福祉サービスです。安定した生活を営むため、介護等の支援を必要とする人を対象に、障がい福祉事業所などで食事や入浴、排泄などの介助を行います。
重度訪問介護
重度訪問介護とは、日常的に介護を必要とする重度の肢体不自由の方がご自宅で生活をするための障がい者福祉サービスです。ヘルパーが自宅に訪問し、外出時や移動中のケアも含め、日常生活全般にわたる介護を総合的に提供します。
行動援護・同行援護
行動援護とは、知的障がいや精神障がい・発達障がいにより、自分一人で行動することに著しい困難がある方や、常時介護を要する方に対し、自傷、異食、徘徊などの危険を回避するための援護を行う障がい福祉サービスです。
行動援護が知的障がいや精神障がい・発達障がいを対象としているのに対して、同行援護は視覚障がいの方を対象としています。
相談支援
相談支援とは、障がいをある方の状況や悩み、日々の暮らしについて相談に乗るサービスです。現在、障がい福祉に関連するサービスは多く複雑になっています。利用者からの相談内容に応じた情報を提供したり、その複雑なサービスをうまく利用する支援を行います。
障がい福祉施設の起業に必要な手続き
当然ですが、実際に障がい福祉事業を起業する場合、勝手に事業を始めてはいけません。法律によって決められた基準を満たした上で、担当する都道府県や市町村に「事業者指定申請」という手続きをし、許可を受けなければなりません。大まかには下記4つの基準となりますが、細かい部分については都道府県や市町村ごとで異なる場合があるので、必ず担当者に確認をしてください。
- 法人化、または事業内容の変更
- 設備に関する基準
- 人員に関する基準
- 運営に関する基準
法人化、または事業内容の変更をする
個人では事業者の指定を得られません。株式会社、合同会社、社会福祉法人や特定非営利活動法人(NPO法人)など、自分の目的とする事業に合った法人を設立します。すでに法人格を持っていて、新規事業として障がい福祉事業を起ち上げる場合は、定款にある事業目的の変更を行ってください。
事業所とする物件を決め、設備に関する基準を満たす
事業所とする場所は、物件を契約(購入/賃貸)するだけでなく、法律上定められた広さや設備を備えなければなりません。ここは、障がい福祉事業にかける思いが強い人ほど、注意が必要な点です。理想に近づけるためとはいえ、ここで予算をかけすぎると、開業後の資金繰りに行き詰まり、倒産につながってしまうことも珍しくありません。せっかく起業しても、安定した経営ができなければ元も子もありません。
事業上定められた、人員に関する基準を満たす
各事業で必要とされる人材を、最低数以上採用しなければなりません。保有する資格や、業務の経験年数が厳しく定められている場合も多く、必ず確認をして進めます。人材採用の手段は、知人からの紹介(縁故採用、リファラル採用)やハローワークなど、お金のかからない手段をメインに、どうしても人材が採用できない場合に、求人媒体や人材紹介などの有料サービスを検討しましょう。
事業計画を作成し、運営に関する基準を満たす
利用定員やサービス内容の策定から、緊急時における体制の整備など、決めなければならないことは数多くあります。事業計画書は、運営に関する基準を満たすためだけではなく、開業資金の融資を受ける際にも使用する、重要なものです。「初めてで、事業計画書の作り方がわからない!」という方は、当学院にお気軽にご相談ください。
最後にあなたを支えてくれるもの
「自分の理想の福祉を実現したい」「自分の子どもを安心して預けられる施設がほしい」「今は雇われの身だけど、社長になりたい!」「すごく儲かってる人の話を聞いた!自分もそうなりたい!」…など、100人いれば100通りの開業にかける思いがあると思います。
どんな思いでも構いません。今、抱いているその思いを、ずっと覚えておいてください。ご紹介したように、障がい福祉施設の開業には、一般的にもかなりノウハウが蓄積されており、それを踏み外さない限りは「開業できない」ということにはなりません。
しかし、障がい福祉事業に限らず、どんな事業でも、起業の準備よりも実際の経営、運営をする期間のほうが圧倒的に長く、何年、何十年と継続していきます。その歴史の中では、つらく、逃げ出したくなるような場面が、いつか必ず訪れます。そんな時に、力強くあなたを支えてくれるのは、小手先のノウハウではなく、起業のときに抱いていた、その情熱かもしれません。
参考サイト
厚生労働省:障害者総合支援法
厚生労働省:児童福祉法