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10.52022
ショートステイ(短期入所)はどんなサービス?利用者のご家族を助ける重要な側面も!?

ショートステイ(短期入所)と呼ばれる障がい福祉サービスの需要が、年々高まっています。利用者本人にとって有益なサービスであるのはもちろんですが、日常的に介護をするご家族にとっても”レスパイトケア”の側面から、ショートステイは非常に意義のあるサービスです。ここでは、そのショートステイについて詳しくご説明いたします。なお、法律で定められた正式名称は『短期入所』ですが、現在では通称名のショートステイの方が一般的に呼称されているため、本稿ではショートステイと統一して表記します。
ショートステイ(短期入所)とは、どんなサービス?
ショートステイは、自宅で介護を受け暮らす、障がい児・者を対象としています。ショートステイの名のとおり、短い期間に限って施設へ入所するサービスです。利用のタイミングとしては、障がい者本人の介護をする家族がケガをしたり、病気になったりしてしまった時。あるいは、結婚式やお葬式に参加しなければならない時。そして、介護をする家族にも、心身ともにお休みが必要な時。などなど、様々な場面で利用することができます。
障がい者向け支援施設(入所施設)の多くでショートステイを利用できますが、特に夜間のショートステイ利用については、利用者本人やその家族に認知されていない施設も散見され、よりよい利用環境の整備が必要な状況です。
ショートステイの歴史
ショートステイは1976年より開始され、40年以上運用されています。しかし、開始当初は「介護者の休養や介護疲れ」といった、いわゆる『私的事由での利用』はできませんでした。その後、1987年制定の「精神薄弱者福祉法」「身体障害者福祉法」により、身体障がい者は同1987年から、重度の障がいがある児童・知的障がい者は、2年後の1989年から、私的事由での利用が可能となりました。
令和の今となっては『私的事由での利用』が禁止されていたなど、想像できない方も多いと思います。しかし、当時は「介護は家族がするもの」といった考え方が、まだまだ強かったという時代背景がありますので、無理もなかったかもしれません。
ショートステイを利用すべき時
現在のショートステイは、上述のように、介護を担う家族の”もしもの時”はもちろんのこと、介護者の休息のためにも利用できるサービスです。このショートステイのように、利用者本人にとってだけでなく、家族・介護者の休息という側面を持つサービスのことを”レスパイトサービス”、介護者の休息自体を”レスパイトケア”と呼びます。
このように、以前は利用が除外されていた『私的事由(介護者の休息)』は、今ではレスパイトケアという独自の呼称となるほど、重要なことと位置づけられています。
レスパイトケア(レスパイトサービス)の重要性
レスパイトとは英語で「一時的中断」「小休止」「休息」を意味します。ひとときでも、介護者が介護の負担から解放され、気持ちのリフレッシュや身体の休息をとる「介護者のためのケア」を指す言葉が、レスパイトケアです。
介護が必要な障がい者の状況によっては、ほんの少しでも、介護者が障がい者のそばを離れることが難しい場合があります。その状態が継続すると、介護者と外部・社会との関わりが薄くなっていき、介護うつや引きこもりなどに繋がっていくケースが少なくありません。
真面目な方、責任感のある方ほどその傾向が強く、「介護者が介護を休むなんて、本当にいいの?私がやらなければ…。」と、考えてしまいがちです。しかし、無理をする必要はありません。時には、介護を休むということも、重要です。介護は、何年もの長期に渡ることがほとんどです。レスパイトケアによって、介護者が心身ともにリフレッシュを行い、介護疲れからの共倒れを防ぎ、持続可能な介護につながります。
介護生活の維持や、介護する家族とされる本人、お互いの生活の質を保つためにも、レスパイトケアを提供する”レスパイトサービス”の重要性は高まっています。このような面からも、ショートステイは非常に社会的意義の高い福祉サービスと言えるでしょう。
ショートステイのサービス内容
ショートステイは、障がい者支援施設や児童福祉施設などで、以下のサービスを提供します。
- 入浴、排せつ、食事、着替え、移動などの介助
- 見守りや、その他必要な支援
また、利用者の介護を日常的に行うご家族が、日常生活動作訓練など介護の方法を、生活支援員から指導してもらうために、宿泊を含む介護実習を行うケースもあります。
ショートステイを利用できる方
ショートステイを利用できるのは、障がい支援区分「1以上」の障がい者と、市町村が利用を認めた障がい児・者です。ショートステイの事業所は、主に受け入れる障がいや医療的ケアの必要性によって「福祉型」と「医療型」に分かれます。
福祉型(障がい者支援施設等において実施)
- 障がい支援区分が区分1以上である方
- 障がい児に必要とされる支援の度合に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する児童
医療型(病院、診療所、介護老人保健施設において実施)
遷延性意識障がい児・者、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者や、重症心身障がい児・者(肢体不自由1・2級の身体障がい者手帳及びA 判定の療育手帳を所持している児童) 等
定義としては、上述のように障がい支援区分1以上の方が対象ですが、厚生労働省の資料によると実際の利用者は、区分5・6の方が6割以上を締めているようです。
ただし、重症心身障がい児・者であっても、設備や人員が整い、ノウハウのある障がい者支援施設であれば受け入れは可能です。オールケア・グループでは、重症心身障がい児・者への支援・ケアの豊富なノウハウに基づき、重症心身障がい児・者の方にもご利用いただけるショートステイ施設がございます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
利用できる期間・年齢
ショートステイの利用にあたり、日数の上限はありません。しかし、同じ施設・事業所を利用する場合において、連続して利用できる日数は『原則30日』となっています。ですので、同じ事業所を31日以上利用したい場合は、30日ごとに1日、自宅へ戻るなどして利用期間を空けなくてはなりません。
利用年齢は、原則として64歳までとなります。65歳以降については、介護保険制度を利用することになりますが、介護保険制度にもショートステイのサービスがあるので、ご安心ください。
ショートステイには3つの事業形態がある
ショートステイには「併設型事業所」「空床利用型事業所」「単独型事業所」の3つの事業形態があります。それぞれの特徴について説明していきます。
併設型事業所
障がい者支援施設(入所施設)に併設された、ショートステイ事業所。
空床利用型事業所
障がい者支援施設(入所施設)の、使われていない居室を利用して行う事業所。
単独型事業所
障がい者支援施設(入所施設)以外に設けられた、ショートステイ専用の事業所。
どのタイプの事業所が優れたサービスを提供している、ということはありません。利用者や、介護を行うご家族の希望に合った事業所を選びましょう。
ショートステイの利用方法
ショートステイを利用するためには、まず最初に、ご自宅の市町村にある福祉窓口に相談へと参りましょう。そして”サービスの利用申請”、”障がい支援区分の判定”、”サービス等利用計画の作成”、”市町村の支給決定と受給者証(通知決定)の受け取り”、という4つのステップを利用に向けて進めます。この手続きには、最長で2ヶ月ほどかかることもあるので、早めの手続きがおすすめです。また、18歳未満の障がい児の場合には、対応窓口が子育て支援の担当という場合もあります。
無事、受給者証を受け取れましたら、次はショートステイサービスを提供している事業所との利用契約です。どの事業所と契約をするかは、自分で選ぶことができます。まずは、事業所へ見学を申し込み、施設や職員の雰囲気を確認し、具体的にどんなサービスを受けられるのか、よく話を聞き相談して、契約する事業所を選びましょう。
ショートステイの基本料金
ショートステイの利用料金は、基本的に1割負担で、負担額については上限月額があります。利用者が18歳以上の場合は、利用者とその配偶者の所得に応じて、利用者が18歳未満の場合は、児童を監護する保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得に応じて、それぞれ自己負担の上限月額が決まります。その他に、食費、光熱水費などについての実費負担があります。
ショートステイのポイントまとめ
- ショートステイは、『私的事由』でも利用できる
- 介護者の負担を軽減する”レスパイトケア”の側面がある
- オールケア・グループなら、重症心身障がい児・者も利用可能
- 利用は連続30日まで
- 自己負担は基本的に1割負担で、月額上限がある
参考リンク
厚生労働省:障害福祉サービスの内容 |厚生労働省
厚生労働省:障害福祉サービス等について
WAM NET:短期入所(ショートステイ)
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