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児童発達支援事業所の開業基準は?重症心身障がい児受け入れ基準や放課後等デイサービスとの違い

児童発達支援は、児童福祉法の改正により2012年から始まった、比較的新しい支援の形です。障がいのある子どもたちを支援する通所サービスという点で、放課後等デイサービスとよく似ています。事実、このふたつはその始まりからみても、兄弟のような関係にあるのですが、当然大きな違いもあります。この記事では、そもそも児童発達支援とはどういうものなのか、そして児童発達支援事業所の開業の際、必要な各種の条件や、費用について解説します。

児童発達支援事業所とは

児童発達支援事業所とは、未就学(6歳まで)の障がいのある子どもが様々な支援を受けることのできる施設です。日常生活に必要な自立支援に加え、遊びや学びの場として、また、社会生活に必要なスキルを身につける場として、多面的な支援を行います。

オールケア学院では、児童発達支援事業所の起業・開業支援を行っております。特に、重症心身障がい児を受け入れる事業所の立ち上げ・運営ノウハウに関しては豊富なノウハウがございます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

放課後等デイサービスとの違い

児童発達支援と放課後等デイサービスは、どちらも2012年の児童福祉法改正により始まった支援の形です。児童福祉法の改正以前は、両者は「児童デイサービス」という名称で扱われていました。

児童発達支援も放課後等デイサービスも、どちらも障がいのある子どもが利用できる通所サービスということでよく似ています。児童発達支援と放課後等デイサービスの、わかりやすい違いとしては、その施設を利用できる年齢です。児童発達支援が未就学の障がいのある子どもを対象としているのに対し、放課後等デイサービスは6歳から18歳までの就学年齢の障がいのある子どもを対象としています。そのため、放課後等デイサービスでは 児童発達支援とは違い、学校生活の困りごとや人間関係の悩み、進学や就職などひとりひとりの進路までを踏まえた支援が行われます。

児童発達支援事業所を開業するための条件

児童発達支援の事業所を開業するには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

1.法人であること

開業以前の時点で法人格を有していない場合、株式会社やNPOなど、何らかの法人を立ちあげることになります。すでに法人格を有している場合でも、事業目的に「児童福祉法に基づいた児童発達支援事業を行う」旨の記述がない場合は、事業目的の変更手続きを行う必要があります。

2.人員に関する基準

児童発達支援の事業所を開業するために、以下の人員基準が設けられています。

・管理者(1名)

 勤務形態は常勤です。管理者以外の職務との兼務も認められています。資格要件はありません。

・児童発達支援管理責任者(1名)

 勤務形態は常勤です。こちらも、他職務との兼務が可能です。なお、児童発達支援管理責任者の資格が必要となります。

・保育士または児童指導員等

配置人数は利用者数により規定されます。保育士、児童指導員に加え、障がい福祉サービスへの従事経験が2年以上の者も人員に含むことができます。ただし人員のうち半数以上は保育士又は児童指導員の資格を有している必要があるので、注意が必要です。1名以上が常勤で勤務することが義務づけられています。

・機能訓練担当職員

 必要な機能訓練を行う場合に配置します。なお、理学療法士や機能療法士を配置した場合、上記の「保育士または指導員等」との兼務も可能です。

主として難聴児を受け入れる事業所の場合

・言語聴覚士

 指定発達単位ごとに4人以上の配置が必要となります。「保育士または指導員等」との兼務が可能です。

主として重症心身障がい児を受け入れる事業所の場合

・看護師

 1人以上の配置が必要です。

・機能訓練担当職員

 主として重症心身障がい児を受け入れる事業所を開業する場合では、1人以上の機能訓練担当職員の配置が必須となりますので、注意が必要です。

3.設備に関する基準

児童発達支援事業所の開業には、事業所内の設備についても基準を満たす必要があります。

・指導訓練室

 1人あたりに2.47m²以上の床面積が必要です。定員は10名程度とされています。

・遊戯室

 1人当たりに1.65m²の床面積が必要です。

その他に、屋外遊技場、医務室、調理室、相談室、事務室、トイレなどの設備について具体的な基準が定められています。また、施設利用者の障がい特性によっても必要な設備は変わってきます。たとえば難聴児が施設を利用する場合には聴力検査室が必要となったり、重度心身障がい児が施設を利用する場合には、遊戯室や屋外遊技場などの設置義務が免除されたりすることがあります。

4.運営に関する基準

児童発達支援事業所の運営についての基準としては、以下のようなものが挙げられます。

・利用定員が10名以上であること

 ※主たる利用者が重度心身障がい児である場合は5名以上

・連携する医療機関が定まっており、協力体制が確立されていること

・苦情受付窓口を設置すること

児童発達支援事業所の開設までにかかる初期費用

児童発達支援事業所の開業にかかる初期費用について、主要なものを以下にまとめました。

施設・設備にかかる費用

物件の敷金や礼金、仲介手数料、内装費、事務用品費などが含まれます。施設に必要な広さや立地条件、駐車場の有無などにより、物件にかかる金額は大きく変わってきます。児童発達支援事業所では清潔感があり、明るい雰囲気の施設が利用者や保護者に好印象を与えるため、内装費にはすこし余裕を持った見積もりが良いかもしれません。加えて、消防法により自動火災報知機の設置が義務付けられている物件では、設備設置のために100万円以上の費用が掛かることもありますので、注意が必要です。

職員採用にかかる費用

児童発達支援事業所の人員基準に基づき、開業を見据えた求人を行うことになります。求人にはチラシやパンフレット、インターネット上の求人媒体など様々な方法が考えられます。ハローワークへの登録も有効ですが、児童発達支援事業所の人員基準で求められる有資格者や福祉サービス経験者の採用は難しい傾向があるため、有料の求人サービスも併用したほうが効率的です。

利用者募集にかかる費用

現在、児童発達支援事業所は増加傾向にあり、近隣地域に複数の事業所があるケースも少なくありません。そうした場合、事業所のPR方法によっては肝心の利用者が集まらないということもありえます。PR方法にはパンフレットやチラシのポスティング、口コミなどが考えられます。その中でも、HPや SNSを用いたインターネット上のPRは、児童発達支援を必要とする子どもの保護者に効率的にアプローチできるので効果的です。とはいえ、自分の事業所の魅力を正しく分析し、それを必要としている人に届けるのは意外と難しいもの。魅力的なHPの作成にも、専門的な知識が必要となります。そのため、インターネット上でのPRについては、専門家に依頼することを想定して予算立てしておくのも良いでしょう。オールケア学院では、障がい福祉に理解の深いWeb事業者をご紹介することが可能です。お気軽にご相談ください。

車両にかかる費用

送迎サービスを行う場合には、車両が必要になります。一般的なミニバンを中古で購入するとして、1台あたり100万円ほどはみておきたいところです。その他、保険料や車内設備(チャイルドシート等)にかかる費用も想定しておきましょう。また、利用者の障がいによっては、車いすのまま乗り降りできる福祉車両の導入も検討する必要があります。福祉車両は納車に時間がかかることもあるので、開業に間に合わない場合はリースでの利用も検討すると良いでしょう。

重症心身障がい児用の車両を用意する場合

重症心身障がい児の送迎に使用する福祉車両だと、車両価格で1台300万円ほどになる場合があります。

初期費用以外で児童発達支援事業所に必要な運転資金

児童発達支援事業所では開業から2カ月後に初めて収益が得られます。また、利用者数が増えるスピードによっては、開業後の数か月間は収益が安定しない可能性もあります。そのため、開業の時点で数か月分の運転資金を確保しておくと安心です。

毎月の人件費

職員の給与や福利厚生費、役職手当、通勤手当などです。職員の人数や役職、事業所の営業日数などを確認し、間違いのないように予算立てしましょう。

人件費以外の経費

物件の家賃、水道光熱費、消耗品費などです。送迎サービスを行う場合はガソリン代や駐車場代も必要となります。

児童発達支援事業所と放課後等デイサービスの違いまとめ

  • 児童発達支援とは、未就学(6歳まで)の障がいのある子どもが利用できる支援サービス
  • 開業には、法人格があることに加え、人員、設備、運営についての基準を満たす必要がある
  • 事業所の内装や消防設備のリフォーム費用を考慮し、余裕のある予算立てを
  • 開業してから収益が得られるまでにラグがあるので、開業前に数カ月分の運転資金を準備しておくと安心
  • 重症心身障がい児向けの児童発達支援事業所なら、オールケア学院にご相談を

参考リンク

厚生労働省:障害児通所支援について

厚生労働省:児童発達支援の現状等について

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